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- 米中知財戦争をテーマに、アメリカと日本をまたいでライブの討論&セミナーを行いました。
先日12月5日に恵比寿のウェスティンホテルに於いて、米中知財戦争をテーマに、アメリカと日本をまたいでライブの討論&セミナーを行いました。
アメリカからはアンドレイ・イアンク特許商標庁長官、日本側からは長尾敬衆議院議員、ロン・ハリス外国法事務弁護士が参加し、全体進行を丸山和也がモデレーターとして取り仕切りました。
アメリカ(トランプ政権)は、ここ数年中国による知的財産権侵害を主な理由に、数々の制裁関税を課してきたばかりか、昨年は世界的事件となったファーウェイ副社長のカナダでの拘束という実力行使までしました。
米国は1776年に独立国家となり、その14年後の1790年に既に特許法を成立しています。そして憲法上も知的財産権の保護を明記しています(米国憲法第一条第八節第一項及び八項)。
他方、中国で専利法(特許法に該当)が制定されたのは1985年です。
米国では230年の歴史があり、中国では僅か35年の歴史というわけです(小生が米国留学から帰国した1980年代初頭には、中国に何かと知的財産権を尊重させる環境を作らねばと思い、先輩学者と共に何度も中国往復協議を重ね、前記専利法の制定に向けて指導協力した懐かしい記憶がある)。
その中国は今や特許申請件数においては米国、日本を抜き世界No1なのです。
米国は知的財産を米国経済力ひいては国力の根源と捉えており、この知財覇権を中国に奪われまいと今や必死であります。
片や日本の知財は、小泉内閣時にいわゆる『知財立国』宣言がなされ、その後知財高裁の設立や知財の重要性が色々な形で論じられてきましたが、大きな成果があったとは思えません。
目に見えない財産には金を惜しむという悪しき古い習慣が日本にはまだ根強いように思うのです。
これでは230年前に憲法上知財権を宣言した米国とイノベーション競争において勝てるわけがありません。
そればかりか中国にも完全に遅れをとるでしょう。
更に今回はコロナワクチンを巡る知財問題が存在します。
つまり今や世界中でワクチン開発競争が激化していますが、これらは当然ながら特許でガードされています。
しかしこれを従来の薬と同じように特許で厚く保護することと、人類の救済というより普遍的なテーマのために、安価で広く行き渡らせることとをどう調和させるかというタイムリーなテーマも討論されました。